2014/10/02
審査委員
楫屋一之 [選評]
唐津絵里 [インタビュー]
岸正人
近藤恭代
橋本裕介 [選評]
藤田直義
横堀ふみ [選評]
ゲスト審査委員
岡村恵子 [選評]
川瀬浩介 [選評]
寺田みさこ [選評]
前川知大
*「選評」はPDF形式で掲載しております。
今回「トヨタコレオグラフィーアワード2014」が終了した直後、BONUSをメディアに、審査委員の方々に選評の執筆を依頼し、届いたものを掲載するプロジェクトを発案しました。これはその結果です。
審査委員には私が連絡先を集められた限り直接オファーしましたが、連絡先(メールアドレス)が分からない場合には、知人を介して連絡してもらうことにしました。残念ながら、現時点で、全員の選評を集めることはできませんでした。私の非力の結果という他ありません。執筆NGの理由は、忙しいというものから、自分の意見を公開するとそのことに意味が出てしまうのでというものまで、様々でした。今後も、NGだった審査委員のなかであらためて執筆の希望があればこちらは歓迎するつもりです。
私は、この選評を集めるプロジェクトを、審査結果に不満だからなどといったネガティヴな気持ちではじめてはいません。8/3に授賞式があり、そのときに複数のゲスト審査委員から「議論が白熱した」との言葉が観客に届けられましたが、誰からどんな議論が出て、どう白熱したのかという具体的なことは表に出ませんでした。
授賞式の後に、審査委員を観客たちが囲む時間もとられましたが、その模様を伝える公式・非公式のメディアもありませんでした。それでは、アワードを行った意義は著しく減少してしまうと私は思いました。私は、ある審査委員に、舞台にダンスがあるのではなく、審査会場にこそダンスはあるはずだとそのときに申しました。これは「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」という名言(?)のちょうど正反対みたいな言葉ですが、男性用便器が美術館に据え置かれ、いつの間にかそれが美術の一部になったときから芸術というものはそうなった、というのが私の考えるところだからです。私は芥川賞の受賞作よりも選評が好きで、毎回「文藝春秋」を買います。あの選評には「文学」があると思います。受賞作を読んで「あれ?」と思う時も、あそこには「文学」がある。それと同じ気持ちで審査委員の言葉には「ダンス」があるはずだと思います。
そんなポジティヴな思いから、ダンスを囲む人々があれこれと「ダンス」について考える場が生まれるよう、選評の執筆をお願いして回りました。集まった選評には間違いなくいまの「ダンス」が示されていると思います。もちろん、別の方々が審査委員だったら別の「ダンス」が見えてくるのでしょう。とはいえ、ここに集まった「ダンス」を吟味することは、とても意義のあることだと思います。それが「トヨタ」が「トヨタ」である証であるはずです。
あらためて、ご執筆下さった審査委員に、またNGでもお返事を下さった審査委員に深く感謝申し上げます。
木村覚(BONUS)